2016年10月 ①シンゴジラ
映画は見ないのだけど映画業界以外の信頼できる人の評判があまりにいいので数年ぶりに行く気になっ
た。
口コミは正しかった。
傑作だ。2時間集中せずにはいられなかった。
筋は言えないが個別的断片的感想を。
監督 宮崎の「風立ちぬ」で主人公の吹き替えをやった人とは。
うつ病になるのがわかる。それほどの気の張り・集中をもって制作にあたる人のよう。
斬新なアイディアもうなるほど。以下に。
会話が背景
専門的用語をきわめて早口でしゃべるシーンが多い。内容があるのによく聞き取れない。で、何
度も見に行く人がいるらしいが、不可能だろう。思ったのは桑田佳祐の歌詞と似ているというこ
と。何をしゃべっているのかわからないが効果のある雰囲気を醸し出している。
政治論もあり、娯楽を超えるものになっているが偏りがない。
国会を取り巻くデモ。シールズやプロ市民を思い起こさせる。
「対馬をめぐる不穏な動き」とは韓国のことか。中国という国名も出ていた。アメリカの最終的に
自国の利益確保に向かう姿勢もきちんとそしてかなり濃厚に批判している。反中韓だ反米だとは単純
化できない。
リアル感の大切さを尊重
日本の怪獣・娯楽映画というと予算不足もあって荒唐無稽、博士とお嬢さんが出てくるワン
パターンであったが不思議とリアル感があった。その訳は、
有効なロケ地 :議事堂傍の北の丸公園?(昼休み時折行った)、立川の政府避難用地など
セットの高レベルさ、
政治・役所用語の正確なフォロー、
何よりも自衛隊の協力があげられる。
そのため自衛隊については辛口では描けないのはやむを得ないだろう。
世の流れ・風俗をかなり正確に把握している。
当局の公式発表よりネット記事の方が正しいことがあること、そして政府もそれを参考にす
るなど。
東日本大震災などの体験を踏まえており、単なる娯楽作品とは言えない深さもある。
災害と被害、放射能汚染、御用学者、などなど色々考えさせてくれる。
キャスティング
役者の名前はほとんど知らないのでパンフを買った。
人気があるらしい男性がふたり若き政治家として出ている。武野内豊はともかく、長谷川博
已は無理だろう。今千葉県知事をやっている元青春の巨匠程度。難局を乗り越える資質を持っ
ているように見えない。
石原さとみは上院議員の娘には見えない。
市川実日子 環境省の変わり者課長補佐として出てきた。初めて目にした役者さんであるが
ものすごい存在感。化粧をしていない顔のアップがこれほど魅力あるとは。この映画のベスト
と思う。
女性防衛大臣 どう見ても小池都知事をモデルにしているとしか思えず、面白い。
追記
なんと読売新聞朝刊(2016.9.18)であの政治学者御厨貴氏が1面と2面で長大な絶賛記事を載せ
ていた。こんなこといまだかってなかったのでは。
映画中に出てくるある役所の出動服を自分も持っていて、捨てるのはやめることにした(捨てちゃったかな?捜してみよう)。
私もおすすめしたい映画だ。
2016・9・22記 再掲