三和土の製作 ⑤研究論文
三和土の製作に関してはDIY的感想しか見当たらず特に配合についてははっきりしない。もう少し学問的なものはないかと思っていたら、一つ見つかった。
査読、引用文献、Q&Aといった文言も見受けられ相当に本格的で好意的に読むことができる。
詳しくは読んでいただくとして特に印象に残ったのは以下のとおり
・構成要素として砂、土、消石灰、にがり、水の5点を挙げている。
水はともかく砂は意外だった。山砂は大量に残っているので、次は赤土に加えてみたい。
・塩化カルシウムの意義を認め,添加することも考えている。
依然としてにがり(塩化マグネシウムを主とする自然的混合物)の意味が分からない。
凝固するものなのか、表面を湿潤にして荒れることを防ぐものなのか人によって説くところが異なる。
そもそもにがりは必要なのか、石灰と土と水でできるのではないか。コンクリートの代用品ならそれでいいのではないかとも思われる。
ここで、あれっと思ったのがコンクリート土間を作るとき第1層として空ねりコンクリート層を作ったが,そこで私のとった方法は
山砂
砂利
セメント
に少量の水を混ぜて混合したものを数センチの厚さにし
その上に圧を加えた。
これって三和土ではないか?
セメントには石灰が入っているし。
現に三和土づくりでセメントを加えている人もいるようだし。
2018.2.16記
三和土の製作④ 消石灰の魅力
今時、古来のたたきを作る人って物好きともいえる古き伝統的技術愛好家なのだろう。
私の場合はそうではなく原状復帰が容易なことをあげたがもう一つあった。
消石灰を使うことだ。
ニワトリが伝染病で大量に処分されるとき事後処理の一環として消石灰を散布するニュース映像が流れる。
消石灰は殺虫剤、殺菌剤ではないがウイールス(正確な名称はわからない)に対して効果があるかららしい。
なんでも散布により強度のアルカリ性になることが効果をもたらすとのこと。農業県の県庁HPでも必要時その散布励行を促しており間違いない模様だ。
確証はないがもっと大きな生物、不快害虫にたいしても効果があるような気がする。
過日、園芸用の消石灰の残りを室内土間周囲の狭い隙間にほうきで掃き入れておいた。
数日後複数のダンゴムシが白い粉まみれになって出てきて昇天していたのだ。
ホー酸のゴキブリやシロアリに対する薬効は有名だが消石灰の効果も撒き方によってはある程度の効果があるのではないか。
少なくても強いアルカリ性で殺菌剤同様の効果があるならそのままでは雑菌が心配な地中に撒いておいて悪くはないと思う。
土台回りの地中に混ぜておくのも白アリ忌避効果があるような印象を抱いている。
危ない薬剤よりホー酸、重曹、消石灰で済むものならそうしたい。
2018,2,14記
③ 三和土づくり試行
初めてのことなので小さなもので試してみることに。
土間保存穴の底が丁度良い。
消石灰を土の1/3くらいにしてみた。
混ぜると真っ白。土の気配はないので土を追加。
次ににがりを適当に水で薄めて混ぜる。
あら不思議。
あづき色になった。化学変化しているんだ。
穴に投入。
ツーバイ材が叩くのにちょうどよい。
ペッたんぺったん。
単純軽作業は楽しい。
2018.2.13記
② たたきの定義と作り方
ウイキペディアでは次のように述べる。
三和土(たたき)は、「敲き土(たたきつち)」の略で、赤土・砂利などに消石灰とにがりを混ぜて練り、塗って敲き固めた素材。3種類の材料を混ぜ合わせることから「三和土」と書く。土間の床に使われる。
このうち、消石灰とにがりについてはほぼ争いがないが土については人によって説く内容がばらばらである。
そもそも左官業の人でも経験がないという人が多くブログで調べたといって作っている模様。
三和土に関してはプロ・アマあまり違いがないように見受けられる。注文する人が極めて少ないからそうなるんだろうと思う。
土は赤土がいい、粘土分の多い田んぼの土がいい、混ぜやすい山砂(真砂土)がいい、砂利を入れた方がいい、砂利を入れない人などいろいろ。
本来在来の地で在来の材料を使って作ったからそうなるのでは。それほどにアバウトでも何とかなるのではなかろうか。
消石灰は何処でも低価格で取得できるので問題はない。
豆腐の作成で使われる「にがり」がネックになりそうで、そういう人もいる。
にがり(苦汁、滷汁)とは、海水からとれる塩化マグネシウムを主成分とする食品添加物 。海水から塩を作る際にできる余剰なミネラル分を多く含む粉末または液体であり、主に 伝統的製法において、豆乳を豆腐に変える凝固剤として使用される。
今豆腐屋さんもにがりではなくその主成分となる塩化マグネシウムを使っているとのこと。
にがりないし塩化マグネシウムが手に入らなければ三和土を作ること能わず。
売っているか市場調査してみた。
にがりは塩の種類を多く置いている大きいスーパー、中くらいのスーパー両者にあった。
アマゾンで送料数百円を払わなくても済む。
結局、庭を掘れば出てくる赤土、セメント袋1袋で500円前後の消石灰、と合わせて必要な材料はすべて手に入るとわかった。
なお、ブログには塩化カルシウムをにがりと思い込んで使っている人も散見される。融雪剤ではないのですけど。
以下続く
2018.2.12記
たたき(三和土)について
①考えるきっかけ
コンクリート土間は手っ取り早いがいったんコンクリートにしてしまうと後戻りが困難。
不可逆になってしまう。
そこで思い出した。
(当方、異動が多く、文化財の保存に関する職務に近いところに「も」いたことがある。
自動車工場の期間工で働いたことのある人がその「経験」する有為性に付言していたが賛成だ。働いているときはいやだと思っても後で振り返ると財産になっていることが多い。引き籠りよりずっとためになる。
最年少19歳で芥川賞を獲った綿矢さんはいきづまり、なんと郵便局で区分けの非正規雇用に就いている。今はスランプを脱却して総務省の官僚婦人だけど。)
和本の修復にあたっては元に戻せることが第一。
そこで和紙を水に溶けるノリで裏打ちして行うのが基本。
日本のこの和紙とのりを使う修復技術は西洋の本や絵画の世界でも使われている。
可逆性が大切なことは建築分野でも当てはまる。
釘、ネジ留め、木組みなら、ばらしたり基に戻すことも容易。
古民家再生などブームになっている。
ところが接着剤、プチルゴム両面テープを使ってしまうと壊さないと分解できない。
白アリが発生した場合、この面には薬剤は浸透せず、生き残ってしまうという困難性が生じる。最悪家そのものを解体せざるを得ないことになってしまう。
そうだコンクリート土間なら元に戻すことは難しいが(ハンマードリルではつる)、伝統的な三和土ならそんなに強くなく一人で元に戻せるではないかと。
2018.2.11記