高村薫さんの「空海」
今日、たまたま熱工学の本を物色に書店に行ったら、女流作家高村薫さんの「空海」があってびっくりした。
国際基督教大学ご出身ということでなんとなくクリスチャンと思っていたが、仏教に関心を持っているとのこと(ちなみに高校もキリスト教系の同志社)。
なんでも阪神大震災を直接体験して相当の心境変化があり、それがきっかけになったようだ。
本の内容は相当に真面目というか本格的。
かなり調べ、考えている。
最後の前管長との対談で前管長氏が話す内容は私の持論とも一致するところがあり、印象に残る。すなわち、
・空海はすべてを理解してしまっており、弟子として欠けているところを何とか埋めようとの動機づけが希薄。一方、最澄はいまだ到達せずのところがあり、その分弟子は努力し、あれほどの有意な人材を輩出することにつながった。
・真言宗は拠点が分立し、それがマイナスとなっている。
以上、立ち読み時間数分の曲解に満ちたものだろうが司馬の「空海の風景」よりよくまとまったベターな1冊の感じがする。
帰ってネット検索するとこの本のもとは関西の新聞で好評・連載されていたらしく関西の人で本になることを待っていた人が多かったようだ。関東には全く伝わってこなかった。狭い日本だが相変わらず東西ギャップが見受けられる。
2015.9.30記