真言宗中興の祖、覚鍐(1095~1144年)について知っていることは断片的な極く一部のことだけ。
より全般的なことを優しく解説してくれる本はないかと思っていたが、偶然図書館で目にしたのがこの本。
根来寺を解く
朝日新聞出版 2014年2月
中川委紀子
著者は根来寺文化研究所主任研究員。慶大で仏教美術史を専攻した人で、それが良かったのか過度に線香臭くなく一般人にも読みやすくなっている。
白洲正子の文章に近いものも感じる。元々は朝日新聞和歌山版に載っていたもの。好評だったのであろう。
現在でも覚鍐を祖師と仰ぐ寺院は全国で6千余寺あると言われ、四国遍路の札所にも多数あった(遍路の記録24番最御崎寺で言及)。
一読をお勧めする。