阿川佐和子さんの「聞く力」は100万部を超えているとか。
ベストセラーと聞くと退いてしまうタイプなので、これまで読んだことがなかった。
が、勧められて目を通した。
2~3ページ読めば著者の力量、本一冊のレベルはわかるつもりだ。
ウーン、予断と偏見を超えるものだった。
やさしく、読みやすく、それでいて内容がある。
名物にうまいものなしかもしれないが、ベストセラーには何らかの光るものがある。
第1にマイッタのは次の残酷なまでの箇所
ショーケンさんはお遍路をして四国八十八か所を完全徒歩で回って帰ってきたばかりとか。
ご本人はその話をしたがっていると、事前にマネージャーの方から話がありました。
「どうする?」
こちらのインタビュースタッフは少々、戸惑いました。お遍路の経験を伺うのはいいけれど、それだけではちょっと話が偏りすぎるのではないか。でもまあ、最初にお遍路の話を短めに伺って、そこから徐々にテンプターズ時代の話に戻していけばいいだろう。
遍路に行って帰るとその話をしたくなるのは、その通り。数多いブログ、HPはその表れ。
興味のない人にとってはまたか、ということになってしまう。遍路に限らず、フルマラソン参加、登山、外国旅行など本人にとって思い込みが強かったものを終えた後は、大体こうなってしまう。
それを的確に言われてしまうと返す言葉がない。
第2 もう一ひねりがあった。
ショーケンにとって遍路経験は人生そのもので、だからその話は聞く者の心動かすものとなった。テンプターズ時代の話より迫力に勝るものであった。聞き手がどの話が面白いかなどと決めるものではないと思い知った。