名のある方(磯田道史さん)が全国紙(2013.4.27朝日)でこれほどストレートにマツの脆弱性を述べている のは珍しい。
また用意周到な論文構成に恐れ入った。
一文系、歴史系の学者とは思えない内容だ。
生態学、宮脇さんの学説も踏まえてジャーナリスチックな言い方もしているのでインパクトもある。
地方大学の准教授ではもったいない。コンクリート片を見誤って活断層がどうのとのたまわった東京大学のルーピー教授よりずっと上等。
断片的になるが一節を紹介する。
松林があったところは住宅が破壊されている。松がなかったところの方が住宅が残って いる。
陸前高田の松原は江戸前期に植林を始めたもの
松が津波から町を守るというのは百年の時間でみた歴史の知恵にすぎない
奇跡の一本松は松が防潮の役割を果たせなかったことの象徴物である。
波高が10mを超す巨大津波になると松林は凶器となる。
羽衣の松などの老いた松があるのは標高10mを超える三保半島の付け根の一角だけであった。
歴史的景観になっている松を伐採できるかどうかは人命と郷愁を天秤にかけた覚悟の問題になってくる。
ここで、もう一つ私から付け加えたい。
それは松林を維持するのに薬剤の散布が前提となっていることだ(観光地域にみられ る)。健康被害の危険と郷愁との覚悟の問題があることに気づく。