はじめに
竹、特に孟宗竹については 好む人、嫌う人がいます。TV番組でも時折、竹の拡大を憂える視点から番組が制作されています。
私自身、確保している土地の一部に竹林があり、この両者の気持ちを同時に持っていますので単純に伐採すればよいというわけにはいかず調整に頭を悩ましました。
数年の総合的な取り組みでほぼ納得できる状況になりましたので参考までに紹介します。
1 拡大阻止
<空堀り【溝】を掘る。> これ以上来て欲しくないところに幅60㎝、深さ1m、長さ30m位の堀を業者にユンボで掘ってもらいました。地下茎はせいぜい地表から30~40㎝のところに延びていることがわかります。平地なら60㎝程度の深さでよいようです。
緩やかな傾斜では里山に多くみられるように竹は上り下りしますが、垂直な穴ではそれもできず効果100%です。数年たって切り口の中腹から地下茎の先端が顔を出すこともありますがそのまま枯れています。
掘った土は堀に沿って置くだけでも造園あるいはビオトープの点からの効果がうかがえます。堀の中では多湿を好む植物が生えてきます。
<薄いセメント波板を埋める。>4枚位埋めてみました。自分でできるのが利点です。ただし地下茎の先端が波板にぶつかってそこで停止しているのか方向転換をして他に延びているのか見えないので確認はできません(いまのところ先に生えている形跡はありませんが)。
セメント波板は丈夫で腐らないのが長所ですがアスベストが含まれていないか確認をすべきです。
2 利用による調整
・これが本来望ましいもので、NG0.NP0、ボランティア団体による活動も散見されます。しかし全竹林【竹藪】に対して一体何%に手が入れられているのでしょうか。いくらマスコミに取り上げられても一過性のきわめて微少な対応では効果がありません。 よく竹炭・竹酢液をつくる、竹細工をつくるといったことが唱われますが「飽きる」「長時間かかる」点からだんだん行われなくなります。
・ 私は、70歳の男性が「一人で」「思い立ったらいつでも実行でき」「定期的な補充を必要とする(=消費量の確保)」のが全国的な視野からすると望ましい利用形態かと思います。
この点からコンクリート柱あるいは木柱と竹の組み合わせによる竹フェンスを考案しました。瀟洒な和風庭園でみられる竹垣ではありません。要は、竹を一定の長さに切ってわくの中に放り込むだけです。
第1案は横に並べるものですが、竹は前後で口径がかなり異なってくるので不都合なことがわかり第2案として縦に並べるものになりました。
3 竹の効用と倒壊対策
建築家が多用するものですが、見たくない高さのある光景(工場、アパートの裏等)を嫌みにならな い形態で遮る方策して孟宗竹は効果的です。私も1カ所境界ぎりぎりに迫っている隣家裏側(トイレ、 台所等)を目に入れたくないので活用しています。
しかし、15mから20mの高さは相当に風圧を受けるもので、強風を受けて途中から折れることも あります。そこで登山道具のカラビナとロープでひとかたまりの竹を束ね、それをロープで土地に埋め た基礎(重量ブロックを鉄筋でT字方に結束したもの)に結ぶという方法をとっています。
4 竹への積極的攻勢
竹は幹を切ることは比較的容易ですが、辺り一面にはびこっている地下茎を取り去ることは重機でも使わない限り無理です。しかし、だからといって荒らされたままにするのも悔しい気がします。何とか 常緑広葉樹を植えて対抗させられないか考えました。
ここで、とても奥深いことを優しい言葉で教えてくれる宮脇 昭博士の著にヒントを得て深根性・直 根性のクスで勝負させることを思いつきました。前述のように竹の地下茎は深くありません。従って周囲の竹を切り払って採光を確保することと竹の地下茎の下までクスの根が伸びる手だてをしてあげれば 十分に生育できるのではないかというものです。「竹の地下茎の下までクスの根が伸びる手だてを」というわけは、竹の地下茎を一定範囲切断して良質の土壌を補充してそこに他の樹木の苗を植える実験し たところ、竹も利口で、新たに地下茎を延ばし始め、後から植えた苗の根をまるで首を絞めるように迫 ってくるのがわかったからです。
そこで、鋸やナタで地下茎を切断した深めの穴にコンクリート排水マスやブロックをセットし、丁度これを底のない植木鉢のようにしてクスを植えてみました。500年後 見に来てトトロの木のようになっていれば嬉しいのですが。
上の幼木も数年経って大きく、数メートルになった。
足元には別の芽が。