そうだ京都へ行こう③ 重森三玲旧宅、八つ橋、聖護院、下鴨神社糺の森
地図に小さく重森三玲庭園美術館とあった。
南禅寺でも、東福寺でも氏が手を入れた庭を前面に打ち出しているし、息子さんほか跡継ぎにも恵まれ家業は維持・継続されている。
そういえばお孫さんの本を1冊持っていた。
大学正門の守衛さんに場所を聞くと鳥居の脇の道に入ったあっちの方とのご指導。
ずんずん進むがなかなかつかず行き当り。行き過ぎたと知ってかなり戻る。
立て看板などがないからわからなかった。積極的にはPRしていない。
そのあたり冷泉家に似た雰囲気だ。
が、ガーン
月曜休館だった。
思ったより広い敷地のよう。そして立派な手入れの行き届いた門。
後で検索すると普段も要予約らしいのでその点では納得。
元吉田神社の神官の家だったらしい。確かにどこでも由緒ある神社の周りには神官らしき人の住む住居地域がある。
成功した作庭家と言えどもよそ者がここに住むに至ったことで何かがあったような気配も。
八つ橋にまつわるお店を通って聖護院へ
本舗だか本家だかわからないが古い菓子製造元の家が2軒あった。写真はそのうちの1軒。
当方は食べることに興味がないしお金もないのでそういうところへは一切入らない。
ただ、通りの雰囲気は悪くない。
ほどなく聖護院へ
本来修験道のお寺と思うが、門跡を強調した石柱が目立つ。塀には5本の筋が。
京都でかなりみられるところだが皇族や摂関家とのつながりを権威づけに使っているようで疑問に思う。仏教の本質からしてもなじまない。
地図からもわかるが境内は思ったより小さい。取り立てて言うべきオーラを与える建物は見受けられなかった。修行に力点を置くべき点からすればそのことはどうということないと思うが。
雰囲気が異なるゾーンがあった。宿泊や料理の商業的施設になっているようだ。
南へ進み、熊野神社前を右折して下鴨神社へ向かう
まだ日没前で時間が残っていたので紅葉を堪能したくて糺の森へ行くことにした。
この熊野神社は昔からあって【当然】、その付近に学生寮もあることから卒業生もよく口にしている。その意味でてくてく歩いたことはまたまた効果的だった。
行く川の流れは絶えずして
下鴨神社ではなくその手前の糺の森【ただすのもり】を見たいのでバス停も神社一つ手前で降り、横から入る。
はっきり言って紅葉のピーク【11月23日とのこと】は過ぎていて美しくなかった。
ピーク後5日であり東京と変わらない黒っぽい冴えない色。
年でかなり違うようだ。
TVってずるいことを知る。
12月に入っても「紅葉がきれい」などと虚偽のナレーション。撮りダメしておいたのを平気だろうと流したもよう。
こんなもんだろうと思った外国人が可哀想。
下鴨神社に思うこと
帰り際、何やら工事の音がする。
近づいてみると高級マンションの建設工事。
これか、下鴨神社が所有の土地を使って不動産収入確保に向かっているという話は。
不快極まりない。
糺の森に関して環境がどうのこうのと言っておきながらいくら神社外とはいえ隣接するところに神社と関係のない施設を建て全国の富裕層をターゲットにするとは。
850年前と同じことをしている。
鴨長明はポストを得られず、それまで住んでいた家にもいられなく、結局神官の息子は仏門に帰依し、日野山中にバラックを建てて住むことになった。
にもかかわらず、さも長明を大切にしたかのように摂社河合神社に方丈庵模型を建て観光客を呼び込んでいる。
今回は豪華マンションを作って全国から金持ちを引き入れようとする。
もう一度方丈記を読んでほしい。
どれほど家で失望し虚しい思いをしたかを。
セレブ志向の人や裕福な外国人に緑の多いブランド地域に住むことができてうれしいとの満足感を与える家を提供することが下鴨神社の精神にどう合致するのか。
二度と下鴨神社に行くことはないだろう。
京都の人の洛外、よそ者へ対する差別意識が異様に強いことは井上氏のベストセラー「京都嫌い」で明らかとなっているが、その差別する気持ちを原風景を大切にする気持ちに昇華してもらいたい。
何十回見ても京都タワーがいいと思うことはない。
風景を大切にし、過去にさかのぼって復元まで珍しくないこととする奈良の人の方がずっと上質ではないか。
2016.12.22記