田舎暮らしと哲学(木原武一) 2
先日文春の社長が「図書館で文庫本の貸し出しをしないでほしい。売り上げ減につながっている。」と発言。
その気持ちはよくわかるが、立ち読みはどうするのだろう。店主がはたきを使うシーンは見ないが。
大型書店には店内に喫茶店併設のところもあり、そこでは買わない本を読むことができてしまう。
ということはコーヒーを1杯飲む費用を払えば厚い本でも落ち着いてを読めるということになる。
1時間あれば大体読めるだろう。自殺行為ではないか。
それに手垢、パンくずなどが付き、本を大切にする人からは許されない蛮行に見えるのではないか。ことによったらそんなお店では買わないよということになるかも。
と、前書きはこのくらいにして、本の感想を。
田舎暮らしのネット情報はたくさんあるが最近の多くは小屋建設にまつわる話が多い。住む人自身の関心も多くはそこにあるようで、建設終了とともに関心は田舎暮らし以外に向かってしまう人もいる。
「 田舎暮らし」というより「小屋づくり」が実態であるかのよう。
木原さんは家自体は設計、建築ともプロにお願いしており、関心は家づくりより田舎での生活自体にある。そしてそれが40年にわたるので周囲風景の経年変化、心境変化が色濃く書かれていて興味深い。
例えば緑に囲まれた生活をしたいと木を植えたが木が育ち高木になるにつれ身の危険を感じ伐採につながる話、
広大な耕作放棄地の一見意味のない草刈も成果、達成感を感じられて嫌にはならないなど。
総じて田舎暮らし大人版という感じだ。丸山健二よりずっと普通の考えをする人。
平明な記述なので読みやすい。
2017.10.15記
田舎暮らしと哲学(木原武一) 1
たまたまJRターミナル駅にある大きな書店を覗いたら新潮社の新刊が飾られていた。
そうだ、図書館は万能だと思っていたが新刊がすぐ入るとは限らないし入ったとしても順番待ちになってしまう。
真にすぐ話題書を読みたいなら巨大書店が優るのかも。
この本の題名からすると、作者は継続的就業拒否の単身若手か定年退職者のどちらかかなと思いながら手に取ってみると、どちらでもなかった。
何と30代半ば横浜から移住して40年田舎暮らしをしている人。お年は70代半ばとある。
もちろんご家族もいる。
末尾の著作、翻訳歴を拝見すると数十冊を超えている。
どうも我々はインターネットやメディアの影響を受けすぎているようで「移住して田舎暮らし」というとバイアスをかけすぎて普通でない方がほとんどとみてしまっているのかもしれない。
ネットにアップしない人もたくさんいる、というかそちらの方が多いのかもしれない。
気になるお値段じゃなかった移住先はどこかとみると千葉県いすみ市とある。
ほんとに外房のやや南に位置するいすみ市に移住あるいは別荘地として居を構える人が多い。
最近は発言を目にしないが上智大学で教授をし、その後多摩大学学長になったクラークさんはここに広大な土地を取得し外国人仲間が家を建てて住んでいるらしい。
あのDIY誌の編集長もここだし。
どうしていすみ市なのだろう?
JRで東京駅に直行出来、仕事に便利だからか、海に近くて山の雰囲気も味わえる、つまり鎌倉的な雰囲気も味わえるからかな。
追記 自治体が移住に協力的なもよう。
http://suumo.jp/journal/2017/09/07/140836/
2-17.10.13記