詩人の日和聡子さんが大岡敏昭著「武士の絵日記」を次のように好意的に紹介している。
29歳の時に上書をして藩政を綸じ、蟄居の処分を受け、中級身分から下級武士に下げられた侍の絵日記をもとにした作品である。
登城を外され、妹夫婦の家に同居する独身の身であるが、文才と画才に優れ、詩文を物にするほか、求めに応じて屏風絵などを描き、子らに手習いを教えたりして生計を立てている。
慎ましい生活の中でも、家族や友人知人らと互いを密に訪問し合い、ともに語らい逍遥する。しばしば、酒宴や祝いを行い、日日のささやかな楽しみ喜びを大事にして、気品と誇りを失わない。
動植物を愛し、武士としての気概と勤勉さを保ち磨く彼の大らかでまめやかな暮らしぶりが、洒脱な筆致で生き生きと伝えられる。
田舎暮らし、小屋暮らしをしていてほとんど人との交流がない人がいる。
傷つくことは少ないかもしれないが何とも寂しい生き方だ。
そんな中、低所得の小屋暮らし生活をしているが上記主人公のように日日のささやかな楽しみ喜びを大事にするグループもあり、魅力となっている。年齢も作中人物に近いようだ。
煩わしいなどといわずにネットでは得られない人間らしくリアルな交流を大切にして続けてもらいたいものだ。