古書のこと②
朝吹真理子・多和田葉子とロバートキャンベルさん
今、テレビは高偏差値、高難易度学歴保持者が大好きで彼らをメインにするクイズ番組も大流行。
偏差値至上主義志向の中で最上位カーストに位置するT大医学部のM君などまるでタレント扱い。
でも、日本人でノーベル医学生理学賞を獲った人にT大医学部はいないのじゃなかった?
山中さんは神戸大だし。その他の分野でも駅弁大学とか言われる地方大学出身の方の取得がこのところ目立っているのはなぜ?
天才がゴロゴロしているならノーベル賞の3っつや4っつお取りになればいいのに。
文系の方で最上位カーストに位置するのがT大法学部。
「このはげー」のヒステリー暴行議員、子供より夫以外との週4回を好む元検事の弁護士議員、卑猥な発言の財務次官、公務の合間に公用車でヨガに励む文科大臣、同じく秋葉原に若い女性の貧困調査にたびたび出かけていた文科の事務次官と枚挙にいとまがない。
新潟県知事は医師と弁護士資格の双方をお持ちだった。!
人間の品格、学問的業績は必ずしも学校の偏差値とは≒でないとの点もいうべきではありませんか?
マスコミはマッチポンプ(放火犯と消防士役兼任)をいつまで続けるのでしょうか。
その点、文学の世界はまともに見える。作品の良しあしを出身校の偏差値で決められることはない。
T大法学部を出ても予備校で国語を教える人(この人も学歴でタレントになっているが)より高卒お笑い芸人で芥川賞を獲った人の方が価値ある人生だったと後で総括されることになるのは明白。
随分と前書きが長くなってしまったが、今回タダでもらった朝吹さんの本の話しに入る。
彼女については逆に偏見を持っていた。
文学者って生まれ、育ちに複雑な思いを抱いている人が少なくない。
太宰治と宮沢賢治という人気のお二人とも地方東北の出身で言葉に訛りがあり、なにより父親の生業が高利貸し?・質屋であることに口に表せない鬱屈間を抱いていたようだ。
だが朝吹さんは都会の何不自由のないお嬢さん。お家柄も文学者に例のないご立派さ。
そんな彼女が逗子,葉山の別荘がどうのこうのというとそれだけで退いてしまいたくなる。
しかし、葉山の別荘の娘と別荘管理人の娘の二人の話だった。
朝吹という名は使わずペンネームを使った方が、また別荘の地名も変えた方がよかったのかもしれない。
売れる前だから打算があったのかも。
出だしは読みにくいが少し我慢をすれば入っていける。
キャンベルさんも評価していた(2018.5.2読売)。
「朝吹真理子さんも好きな作家です。多和田さん同様、細部をとらえて全く違う世界に運んでくれる。」
TIMELESSという小説を前提にしての評価のようだが、これは現代と江戸時代の突然の移ろいを書いているらしい。「きことわ」も少女時代と40代の今を重曹的に書いている。彼女はこういうのが好きなのかな?
ついでにキャンベルさんの多和田葉子さんへの立論が興味深いので引用
日本語の展開を考える場合、ドイツに長らく住んでいる作家、多和田葉子さんがとても興味深い。
日本語から遠く離れた環境で客観的に日本語をとらえ、日本語を冷血なまでに解体し、言葉で遊び、イメージを膨らませ、自分の文体を確立しています。
命を削るような営みです。ノーベル文学賞に最も近い日本人だと思っています。」
考えてみると多和田さんも朝吹さんも似ているところがあるようだ。
が、読みたくなる文章には感じられない。私はパス!
2018.5.4記
古書のこと ①
知り合いの大学の先生が退職にあたって大学研究室に置いてある膨大な書籍をある図書館に寄贈しようと思っていると話した。
それを聞いて、私、かねてから図書館には寄付の申し込みが多いがお断りに気を使うことが多いと聞いていたので難しいかもと、のどまで出かかったが口にするのはやめた。
いま、新刊書がとてつもなく多い。それの受け入れだけで手いっぱい。収蔵庫は満杯。どうやって減らすかに苦心している状況なのだ。
私個人でもかって気ままに購入していたあの大きくて重い美術書が100巻以上、場所を取ることこの上ないし引っ越しの時は地獄だ。スキャンして処分にはなじまないし。
こういうことも関連するのか古書の買い入れ価格が安い。買うときは一定の値がしたのに売ろうとすると10円とか、ゼロ円とか。プライドが傷つくことになる。
そんなに買いたたかれるなら売るより捨てる、誰でもいいからタダでも引き取ってくれたら御の字だということになる。
これ、ただでもらった。
或る図書館関連の本好きの人が作っているサークルが催した企画。
たくさんの本を並べ好きなものを〇冊までというもの。最初は行列ができて混雑していたがしばらくするとガラガラ。何冊でも自由に、ということになった。
飽きがこないもの、装丁のしっかりしたもの、買う気はしないがただならと思えるものを
選んだ。自転車なのでこれくらいでも限界越え。
結構、名著がある。もったいない。
一世を風靡した谷崎潤一郎の源氏物語10巻、辻邦生の西行花伝。
買う気がしないが気になっていた朝吹さんの芥川賞受賞作 きことわ。
漫画のように面白い私小説作家車谷長吉
価値の劣化がない昆虫図鑑に分厚い料理の本など。
観光客気分、すなわちあなた任せに近い中からの選択だったが偶然にもその中で関連性を持つから面白い。
辻邦生の西行花伝は谷崎潤一郎賞を受賞している。
車谷長吉は辻邦生についてこう書いている。
「私は辻邦生氏とは面識があった。
併し私とは作風が違うし、その文章には生活感がなく、嫌いだった。」
いただいて帰りに少しは寄付金をお渡ししたがそれでは申し訳ないのでもう少し紹介していくつもり。
2018,5,2記
(以下続く)